やぶいぬ応援団

膵臓癌闘病記や生還者のアドバイス、新薬の治験情報や研究など元気が出る話題を個人が集めたブログです。 <免責事項>本ブログは特定の治療法や薬の使用を推奨するものではなく、このブログの情報を利用した結果について筆者は責任を負うことはできませんのでご了承ください。

(速報)アキシチニブの臨床試験の中止

2008年10月4日の記事で紹介した新しい分子標的薬Axitinib(アキシチニブ、AG-013736)ですが、すい臓がんに対する第3相(大規模)臨床試験は残念ながら中止になってしまいました。腎細胞がんや非小細胞肺癌など他のがん種に対する試験は続けられます。


すい臓がんは本当に手ごわい。でもいつかブレークスルーが見つかると信じています。

Pfizer社 Axitinibの膵癌第3相試験中止(BioToday 2009年2月2日)

2009年1月30日、Pfizer(ファイザー)社は、進行膵癌を対象にしたAxitinib (アキシチニブ;AG-013736) の第3相試験中止を発表しました。


この報道(ロイター、英文)などによると、試験の中間解析で独立データモニタリング委員会を納得させるだけの有意な結果を示せなかったようです。


ファイザー社の発表内容(英文):各国で現在アキシチニブを投与中の患者に対しては、投与の中止が勧告されています

イリノテカンの臨床試験が全国13病院で開始

カンレンボク

今月のニュースからです。

ゲムシタビン無効の膵がんにイリノテカンとS-1併用の臨床試験始まる(がんナビ 2008年12月4日)


 ヤクルトは、同社の抗悪性腫瘍剤イリノテカン塩酸塩(商品名「カンプト」)の膵臓がん(膵がん)への効能追加を目的として臨床試験を開始したと、12月3日に発表した。(中略)・・ゲムシタビンが無効の膵がん患者を対象に、イリノテカンとS-1を併用する臨床試験を実施したという。イリノテカンとS-1を併用する臨床試験は、海外でも例が無く、国際的に見ても初めての試みとなる。


 同臨床試験は、フェーズIIとして、国内13の医療機関で120人を対象に行われる計画だ。ヤクルトの広報によると、膵がん診療を行っている主要な医療機関は同臨床試験に参加しているということだ。


(記事全文はこちら


イリノテカン(CPT-11)は、大腸がんや肺がん、子宮頸がん、卵巣がん胃がん乳がん悪性リンパ腫等に適用される抗がん剤で、今日のがん臨床で広く用いられている極めて有望な抗がん剤です。今回の臨床試験は、ゲムシタビン(ジェムザール)が効かなくなった人が次の選択として行うもので、意義は大きいと思います(以前にS-1(TS-1)を使ったことがある人は参加できません)。「膵がん診療を行っている主要な医療機関は同臨床試験に参加している」とのことですので、大きな病院の専門外来に問い合わせてみるとよいかもしれません。


この臨床試験については、財団法人日本医薬情報センター(Japic)臨床試験情報で検索することができます(内容は医療関係者向けです)。JapicCTI-No.は080657です。


臨床試験関連記事

Axitinib(アキシチニブ、AG-013736)臨床試験(2008年10月4日)
HF10ウイルス療法の臨床試験(2008年1月14日)
WT1ワクチン臨床試験(2007年11月14日)
タルセバ(エルロチニブ)臨床試験(2006年12月29日)
治験はこわくないー腎がん患者の治験体験記(2006年08月14日)
ランス・アームストロングの提言(2006年08月7日)


他のクリスマスの記事もどうぞ

生還者の声(8)バレリー・N/リディア・Y(2007年12月24日)
Blue Bird さんに捧ぐ(※切ない記事ですが)(2006年12月23日)
ギフトアイデア(2006年12月18日)


※画像はカンプトテシンという抗癌物質がとれる中国原産の木、カンレンボクの実です。イリノテカンは、カンプトテシンを元に、日本で合成されました。

妹の”敵討ち"のために

上の記事でも出てきたパンキャン ジャパン(すい臓がん患者団体)創立者の眞島 喜幸さんのインタビューが、がんナビに掲載されています。

がんを学ぶ 膵がん
先輩患者からのアドバイス
妹の”敵討ち”のため 膵がん診療の向上支援活動を続けている

(がんナビ 2008年11月25日)


2006年4月に実妹を膵がんで失った。・・膵がんの研究・診療の向上を支援している米国の団体PanCANの日本支部、パンキャンジャパンを立ち上げ、日本における膵がん診療の向上を支援している。パンキャンジャパンにおける活動は、妹の“敵討ち”でもある。・・

(続きはこちら

パルズ電話相談サービス体験談

yabuinu52008-11-30


11月は膵臓がん啓発強化月間(パープルリボン月間)です


wakame様から、先日紹介したパルズ電話サービスに相談した貴重な体験談をいただきました。ここに許可をいただいて掲載します。どうもありがとうございます!

『癌性腹膜炎の治療について知りたかったのですが、治療そのものは相談できなくてセカンドオピニオンを受けられそうな病院を紹介するということでしたが、この地域での病院でなど具体的に説明して頂いて親切な対応でした。』

『後日、PanCan の眞島さまから改めてメールをいただき、癌治療学会での概要を教えて頂きました。親切に対応してくださっています。』


電話しようかどうか迷っている方の助けになればと思います。

アメリカ膵臓がん医療訪問記

パンキャンジャパン事務局長の眞島 喜幸氏が(プロフィールはこちら)、アメリカの最先端病院を訪問された記録をがんナビに寄稿されています。

レポート
 【寄稿】パンキャンジャパン・アメリカ訪問記 -- その1
 --- 膵がん診療の最前線を探る ---(2008年10月28日)


 膵臓がん(膵がん)の診療・研究で世界をリードするメリーランド州バルチモア市に位置するJohns Hopkins病院。同病院は、US. News & World Report誌による全米病院ランキングで第1位であり、膵がん治療の患者数も治療成績においても全米第1位だ。膵がん診療の最前線を報告したい。・・


(その1)(その2)

11/16 患者・家族向け講演会

すい臓がんの診断や治療の最新情報を専門家に解説してもらうセミナーが実現しました。

『もっと知ってほしい「すい臓がん」のこと』が11月16日に都内で開催(がんナビ 2008年10月17日)


 NPO法人パンキャンジャパンとNPO法人キャンサーネットジャパン(CNJ)は、共催のプレス・セミナー『もっと知ってほしい「すい臓がん」のこと』を11月16日に都内で開催する。
日時:2008年11月16日(日)13:00(開場12:30)
場所:東京ウィメンズプラザ(東京都渋谷区神宮前5-53-67)
参加費:1000円(※主催・共催団体会員は無料)


プログラムはここ(PDFファイル)で確認できますが、「外科治療・抗がん剤治療・がん性疼痛治療」の最前線の専門医による解説と、パネルディスカッションが行われるようです。盛況になるとよいですね。


追記(2008-11-19): この日のビデオが、キャンサーネットジャパンページで公開されています。

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