やぶいぬ応援団

膵臓癌闘病記や生還者のアドバイス、新薬の治験情報や研究など元気が出る話題を個人が集めたブログです。 <免責事項>本ブログは特定の治療法や薬の使用を推奨するものではなく、このブログの情報を利用した結果について筆者は責任を負うことはできませんのでご了承ください。

膵臓がんのウイルス療法、臨床試験再開

HF10

HF10というウイルスを使った抗がん剤臨床試験(安全性確認試験)が、名古屋大学で始まるそうです。

膵臓がんの臨床試験再開へ ウイルス治療で名大病院共同通信社  2008年1月9日)(癌掲示板より)


 がん細胞を死滅させる性質を持つ単純ヘルペスウイルス「HF10」を研究している名古屋大病院の中尾昭公(なかお・あきまさ)教授らのグループは8日、休止していたHF10製剤を使った膵臓(すいぞう)がん治療の臨床試験を再開すると発表した。


 同病院では2003年に、HF10を使った乳がん治療の臨床試験で効果を上げ、05年1月に膵臓がんでも臨床試験を始めたが、製剤不足で同年9月に休止していた。


 中尾教授によると、海外の製薬会社に委託した、純度と安全性が高い製剤が昨年完成し、大学のバイオ先端臨床研究委員会で承認を得た。がんが進行し切除不能と判断された
患者6人を予定しており、HF10をがん細胞に直接注射するなどして効果を確認するという。

(追記:1月18日にさらにくわしい記事が出ました。(日経メディカル))


名古屋大学 病態制御外科学のページはこちらです。<臨床試験再開のお知らせ>が出ています。

ここには、HF10療法の原理について以下のように書かれています。

がん患者が偶然ウイルスに感染し、そのウイルス疾患が軽快するとともにがんも縮小するということが、古くは1900年代の初めに報告されました。・・その後の研究で、単純ヘルペスウイルスをはじめとするいくつかのウイルスにはがん細胞を殺す作用があることが発見されました。 


さらに研究が進むにつれ、もう一つ重要なことが分かってきました。それは、“免疫”に関係しています。ウイルス感染が起こったことによりひとのからだの中で免疫の働きが活発になり、そのなかでがんに対する免疫なども高まり、直接的あるいは間接的にがん細胞を壊したり食べたりしまうというのです。


今回の臨床試験の対象となるのは、未治療(開腹治療歴および抗癌剤治療歴がない)の進行膵臓がん患者6名だそうです。

今回実施致します第 I 相臨床試験は、少人数の(6名の患者様を予定しています)進行膵がんの患者様に対しHF10ウイルス療法の安全性評価を主眼に行うため、抗腫瘍作用の評価は副次的な目標となります。


対象患者様は手術にて切除不能である膵がんの患者様(下記を参照下さい)であり、そのうちあらかじめ設定させていただいた条件に合致する6名に対して双方の合意の下に行わせていただきます。全身状態などを考慮した上で総合的に本臨床試験の適応を判断致しますので、HF10ウイルス療法のために受診して頂いた患者様全員にこの治療法提供出来るわけではありません。あらかじめご了承下さいますようお願い申し上げます。


 対象患者様を検討させていただく上で、当科を受診される前までの経過やこれまでにどのような治療を受けていらっしゃったかという情報が必要です。受診される際には現在治療を受けておられる医療機関から必要な情報が記載された紹介状、付属資料(画像など)を持参していただきますようお願い申し上げます。


Q&Aのページには、乳癌の皮膚転移に関するHF10の安全性試験の結果についても書かれています。それによると、「すべての患者様につき、重篤な副作用もなく、安全性は確認されました。さらに、投与した箇所のがんの病理学的な検討も行いましたが、病理学的にはがんの細胞が減少もしくは消失していることも分かりました。」とのことです。(英文参考論文


関連記事:がんワクチン研究の現状(11月4日)

<免責事項>本ブログの医療記事や体験記は、特定の治療法や薬の使用をし推奨するものではありません。ご自身の病状については、担当医とよく話し合ってください。このブログの情報を利用して生じた結果について筆者は責任を負うことができませんのでご了承ください。<おことわり>このブログは営利目的ではありません。コメントは承認制です。商品や治療法の広告を目的としたトラックバック、記事内容と無関係のコメント等は予告なく消去させて頂くことがあります。