はやぶさの地球帰還
当ブログの最初の記事となった小惑星探査機「はやぶさ*1」ですが、7年間の旅を終えて、ついに地球に帰ってきます! 6月13日の深夜、はやぶさはイトカワから持ち帰ったカプセルをオーストラリアの砂漠に向けて放出し、自らは大気圏に突入して燃え尽きるそうです。
いよいよ、あと10日ですね*2。日本の各社も下のような力のこもった記事を出していますが、
「はやぶさ最後の大仕事 試料カプセル分離へ秒読み」(東京新聞)
「探査機「はやぶさ」のカプセル、豪が落下許可」(読売新聞)
「50億キロの旅路 「はやぶさ」帰還へ」(産經新聞)(上)(中)(下)
「はやぶさ君、人気急加速 数々の危機克服に共感」(毎日新聞)
「砂漠の星くず見つけ出せ はやぶさカプセル回収大作戦」(朝日新聞)
「はやぶさ 13日帰還が確実に」(NHKニュース動画)
「「はやぶさ」、6月13日の地球への帰還が確実に - 4回目の軌道修正に成功」(マイコミジャーナル)
ここでは、海外の記事をひとつ翻訳してみましょう。BBCの記事、Asteroid probe 'on home straight' です。海外でも盛り上がっているようですよ*3!
故郷に向かう小惑星探査機、最後の直線コースへ
2010年5月31日 11時52分、ポール・リンコン、BBCニュース科学部記者
・小惑星からサンプルを持ち帰るよう設計された日本の無人宇宙船が、地球帰還のための重要な処理を完了した。
はやぶさは、自らを地球へと導く4回のエンジン噴射のうち、2番目の最も時間がかかる手順を完了した。
この宇宙船は、2005年に小惑星イトカワに到達してそこからの岩石サンプルの採取に挑戦した。しかしこのミッションは、探査機のエンジンや地球との通信機能にかかわる技術的トラブルに何度も見舞われた。はやぶさがイトカワからサンプルを採取できたかどうかはまだ明らかになっていない。研究者たちにも、カプセルを開けるまで分からないのだ。
<サンプルを封入したカプセルは、6月13日に地球に帰還する>
先週末、日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)は探査機はやぶさが第二回目の軌道補正マヌーバ(TCM-2)を完了し、地球の「外縁部」へ無事誘導されたと発表した。JAXAによれば、はやぶさと地球との距離は現在約760万kmである。
はやぶさは、6月13日に地球に帰還する予定である。地球からの距離が4万kmになったところで、はやぶさの「母船」はサンプルカプセルを分離する。カプセルは耐熱材によって保護されており、地球再突入時の高熱に耐えられる設計になっている。つづいて、パラシュートが開いてカプセルの落下スピードを下げ、オーストラリアの砂漠に軟着陸する計画である。カプセルは、世界標準時の14時にオーストラリア南部のウーメラ実験施設に着陸する予定だ。
研究者たちは、カプセルが開封されるのをやきもきしながら待っている。はやぶさがたとえ大きなサンプルの採取には失敗したとしても、カプセル内にはイトカワのわずかな岩石の粉が入っている可能性はある。微量でも検査施設で解析できるかもしれない。
<はやぶさは大きなサンプルの採取には失敗した可能性が高い>
研究者たちは、イトカワ到着後に地球に送られてきた観測データの解析をすでに行っている。
はやぶさー日本語で「隼」という意味のことばであるーは、鹿児島の宇宙センターから2003年9月に打ち上げられた。イトカワ到着は2005年9月。その後はやぶさは、このジャガイモ型小惑星のゴツゴツとした地表を撮影し、驚異の画像の数々を地球に送信した。はやぶさは2回の「タッチダウン」を試み、岩石と土壌を採取して地球へ持ち帰ろうとした。しかしどうやら、サンプル採取のための鉄球は発射されなかったようだ。小惑星には、数十億年前の太陽系の形成時に由来する原初の物質が含まれている。
2005年の燃料漏れにより、はやぶさの化学推進タンクは空になった。そこで運用チームは地球帰還のための軌道制御をイオンエンジンで行うことを余儀なくされた。イオンエンジンは、効率は非常に良いが加速は弱い。したがって、各TCMには化学エンジンを使うよりもずっと時間がかかることになった。
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