ウォルター・リーマンの記録(抄訳)(1)
http://www.pancreatica.org/ で見つけた、膵臓がんステージIVと診断され、それを克服した人の手記。全体の95%ぐらいの翻訳です。
元サイト:http://www.pancreatica.org/story_Leaman.html
(私的な翻訳ですので再配布はお避けください)
ウォルター・リーマンの記録(2005年12月記)
※ウォルター・リーマン氏は膵臓がんとの勇気ある闘いを2006年10月27日に終えました。
データ
ウォルター・リーマンは2002年8月、59歳の時に膵臓がんと診断された。手術は不可能であったため、化学療法の臨床試験が行われた。最初はジェムザールとシスプラチン、後にジェムザールとオキザリプラチンが使われた。治療はカリフォルニア州立大学サンフランシスコ校(UCSF)で行われた。ここには、国立がん研究所で認定されたがん治療センターがある。主治医は、腫瘍治療部部長のマーガレット・テンペロ医師である。この物語では、ウォルターを支えた妻、ジーン・リーマンも重要な役割を果たしている。
背景
ウォルターとジーンは、サンフランシスコから東に約50kmのダンヴィルという所で自営業をしている。子供は3人おり、娘の一人は、ウォルターの診断から治療までの間、夫と子供と一緒に同居してくれた。
医学的経過 - 診断
2002年春、胃の調子が悪かったウォルターは掛かりつけ医のもとを受診した。それから四ヶ月間は、次第にひどくなってきた胃潰瘍の原因を探すのに費やされた。二人目にウォルターを診察した一般内科医のローエル・クラインマン医師は、内視鏡検査と生検を行うことにした。それも陰性だったので、クラインマン医師はついに、試験的に腹部手術を行って本当の原因が何なのか突き止めることを決断した。
担当外科医は非常に評判の高い医師であったが、膵臓がんの専門家ではなかった。手術の翌朝、まだ夜があける前に、外科医はウォルターの病室に現れてこう告げた。「リーマンさん、あなたのご病気はリンパ節の腫瘍だと私は思っていたのですが、違ったようです。大変残念ですが、あなたは膵臓がんで、胃と肝臓に広がっていました。リンパ節も少し巻き込まれています。手術はできないと思います。」こう言うと、外科医は文字通りの暗闇の中にウォルターを残して去ってしまったのだった。