腫瘍と正常組織を瞬時に見分けるメス
もう一つの研究は、手術時に使うメスに関するものです。がんの切除手術をするときは、正常な組織をできるだけ残しながら癌組織をすべて切り取らなくてはなりません。しかしながら、正常組織とがん組織の見極めは熟練した外科医にとっても非常に難しいのです。
腫瘍と正常組織を瞬時に見分けるメス「アイナイフ」(2013年07月19日 発信地:ワシントンD.C./米国 AFP)
がん組織と正常組織を数秒のうちに「見分ける」新しい機能を持つ外科用ナイフ(メス)に関する報告が17日、 米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」に発表された。 腫瘍除去手術の改善につながる技術として期待がかかる。
「アイナイフ(iKnife)」として知られるメスは、組織切除に使用する電流によって発生する蒸気を分析し、その組織が正常組織か、がん組織かをリアルタイムで医師に報告する。 患者91人に試験的に使用したところ、「メスの診断は極めて正確」で「手術室での広範な使用を開始するにあたって十分信頼が置ける」ことが示されたという。
「アイナイフ」は質量分析法を用いて組織から発生する蒸気を分析し、含まれている成分を3秒以内に執刀医に知らせる。 現行では、組織を一部切除し病理検査室へ送って分析するなどの方法が採られているが、そうした方法は 「コストがかかり、不正確なことが頻繁」な上、時間も20〜30分かかると、報告したハンガリーと英国の研究者たちは指摘している。
(中略)「アイナイフは現行の腫瘍診断を向上できるもので、手術中の決定に効果をもたらすと共に最終的には腫瘍除去手術の結果を向上させる可能性を持つ」と研究チームは結んでいる。(c)AFP
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