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クレイグ vs がん:スコア1対0 - ある男性が膵臓がんに勝利した話

Prevention.com アンドルー・ワイル医師のヒーリング・ストーリーからです。
アンドルー・ワイル


友人のクレイグ・グリーンから「たった今膵臓がんと診断されたよ」というメールをもらったとき、わたしはショックを受けて悲しくなってしまいました。クレイグは昔ハーバード大で一緒に植物学を勉強した仲間です。今はアトランティック・カレッジで植物学の教授をしているはずです。彼はいつだって健康なスポーツマンで、アウトドアスポーツ、特にサイクリングを熱心にやっていた男です。


クレイグが背中から腰にかけての痛みを感じ始めたのは、2000年の12月、彼が51歳のときのことでした。同時に胃の痛みも始まり、胃のインフルエンザだとばかり思っていました。しかしいつまでたっても良くならないので、2001年の3月、クレイグは胃の検査を数種類受けました。胃酸を押さえる薬をのみ、体重が減少しました。


そして超音波とCTの検査で、ピンポン大の腫瘍が膵臓の頭部近くに見つかったのです。手術は不可能だと知らされたクレイグは、何人かの腫瘍内科医に相談し、厳しい化学療法を勧められました。


クレイグはわたしに、治療が「夏休みの計画に割り込まないといいなぁ。自転車旅行の計画をいくつも立てているんだ。」と言いました。わたしは彼が病気を否認しているのではないかと心配になりました。膵臓がんはたいてい抗がん剤が効かず、あっというまに死亡してしまうことが多いのです。腫瘍がかなり進行するまで症状が出現せず、そしてその頃には他の臓器に広がって(転移して)いることがしばしばです。クレイグの肝臓には数個の影があり、転移だと考えられました。

クレイグの「いい状態を保つ」プログラム

しかし、クレイグは病気を否認していたのではありませんでした。彼は自分が直面しているものが何なのか良く分かっており、健康的な食生活を続けることを決心したのです。(新鮮な有機果物・野菜をを沢山、パスタ、魚、鶏肉を少々、緑茶、それから自家製の上等のビールを適量。)クレイグは2000年に2000マイル(3200キロ)のサイクリングを敢行し、医者にはそんなに運動するのは良くないんじゃないかと言われつつも、2001年には、化学療法を受けながら1300マイルを走破してのけたのです。


クレイグはまた中国伝統医療の医師にもかかり、化学療法の初めの月にはそこで調合してもらった薬草をのんでいました。普段は、MycoSoft Gold という名前の東洋きのこ数種類からとったエキスのサプリメントをのみ、免疫力を増進しました。

彼は強敵に勝ちつづけています

特筆すべきことは、クレイグは十分な食欲を保ち続け、体重を戻したということです。彼の受けた化学療法には副作用として下痢がつきものでしたが、あまりそうしたことも経験しませんでした。時には、白血球や血小板の数が減ってしまって「抗がん剤休み」を取らざるを得ないときもありましたが、それでも、クレイグの腫瘍は2001年6月以降増大を止めたのです。クレイグによれば、抗がん剤を点滴すると3−4日は「抗がん剤酔い」になってしまうけれども、その後はいつもの体力と有酸素運動能力が戻ってくるそうです。彼の目標は夏の間は毎週80マイルのサイクリングをし、冬には可能な限りスキーとスケートに行くというものでした。


2002年3月、クレイグは5歳の息子、ウィルと一緒にグランドキャニオンへキャンプに行き、その帰りにタクソンに住むわたしを訪ねてくれました。彼はすばらしく調子が良さそうでした。「今まではずっと健康だったんだ。」とクレイグはわたしに言いました。「そして今でも健康だよ。ただちょっと膵臓に問題ありだけどね。」


クレイグの「ちょっとした問題」には、おそらく無期限の抗がん剤治療が必要になるでしょう。そして将来どうなるかは誰にもわかりません。今は、クレイグはフルタイムで植物学を教え、充実した日々を送っています。


膵臓がんのような殺人者に打ち勝った例を分析するときはたいていそうですが、どの要因が本当の勝利の理由なのか一つ一つ分けて考えることは容易ではありません。クレイグは比較的新しい抗がん剤の組み合わせ、ゲムシタビン(ジェムザール)とイリノテカン(カンプトザール)を使っています。これは以前に使われていた薬剤よりも彼には効果があったようです。しかもクレイグの全身状態は化学療法を始めた当初申し分のない状態にありました。それでも、この病気と診断された人で彼のように健康で活発でいられる人は珍しいのです。彼のこの態度と積極的に生きようという意思が、成功の秘訣だったのではないでしょうか。クレイグは、マインド/ボディセラピストやエネルギーヒーラーを知っていたら紹介してほしいとわたしに言いました。これが加われば、クレイグのプログラムはさらに良いものになるに違いありません。


クレイグの話が、この不幸な診断を受けた方々を奮い立たせ、生存曲線を乗り越えようとがんばるための力になることを願っています。


(ワイル医師は、アリゾナ州立大学の医学部教授で、統合医療科の科長をしています。)

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