イリノテカンの臨床試験が全国13病院で開始
今月のニュースからです。
ゲムシタビン無効の膵がんにイリノテカンとS-1併用の臨床試験始まる(がんナビ 2008年12月4日)
ヤクルトは、同社の抗悪性腫瘍剤イリノテカン塩酸塩(商品名「カンプト」)の膵臓がん(膵がん)への効能追加を目的として臨床試験を開始したと、12月3日に発表した。(中略)・・ゲムシタビンが無効の膵がん患者を対象に、イリノテカンとS-1を併用する臨床試験を実施したという。イリノテカンとS-1を併用する臨床試験は、海外でも例が無く、国際的に見ても初めての試みとなる。
同臨床試験は、フェーズIIとして、国内13の医療機関で120人を対象に行われる計画だ。ヤクルトの広報によると、膵がん診療を行っている主要な医療機関は同臨床試験に参加しているということだ。
(記事全文はこちら)
イリノテカン(CPT-11)は、大腸がんや肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、胃がん、乳がん、悪性リンパ腫等に適用される抗がん剤で、今日のがん臨床で広く用いられている極めて有望な抗がん剤です。今回の臨床試験は、ゲムシタビン(ジェムザール)が効かなくなった人が次の選択として行うもので、意義は大きいと思います(以前にS-1(TS-1)を使ったことがある人は参加できません)。「膵がん診療を行っている主要な医療機関は同臨床試験に参加している」とのことですので、大きな病院の専門外来に問い合わせてみるとよいかもしれません。
この臨床試験については、財団法人日本医薬情報センター(Japic)臨床試験情報で検索することができます(内容は医療関係者向けです)。JapicCTI-No.は080657です。
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※画像はカンプトテシンという抗癌物質がとれる中国原産の木、カンレンボクの実です。イリノテカンは、カンプトテシンを元に、日本で合成されました。
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