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膵臓癌闘病記や生還者のアドバイス、新薬の治験情報や研究など元気が出る話題を個人が集めたブログです。 <免責事項>本ブログは特定の治療法や薬の使用を推奨するものではなく、このブログの情報を利用した結果について筆者は責任を負うことはできませんのでご了承ください。

ランディ=スタインの記録

以下は、ランディ=スタイン氏の手記です。彼は1996年に膵臓がんと診断されました。このタイプのがんで7年以上生きられた人は多くはいないと言われています。ここに記されたランディの言葉は彼の個人的な意見と体験に基づいたものであり、特定の治療法や薬の使用を推奨するものではありません。


重要:あなた自身の医学的な状態については、担当医とよく話し合ってください。あなたに最も適した治療を決められるのは、あなたと、あなたの担当医だけです。

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私の名前はランディ=スタイン。私の闘病記をここに公開することができて、たいへん嬉しい。私が伝えたいのは、奇跡は本当に起きるということ、それから、人生で大切なものは皆そうだが、奇跡は努力して勝ち取るものだということだ。


私の物語は1996年10月に始まる。その頃から毎日吐き気がするようになった私は、運転中に車を止めて物陰を探し、場所があると吐くようになった。これが毎日長い時間をかけて自動車通勤している私の儀式になった。同時に背中の刺すような痛みもあったが、私は最近買った新しい車のせいだとばかり思っていた。妻は『この車のシートポジションは47種類も変えられるのよ』と言い、背中の痛みの原因はその複雑怪奇なシートのせいだと言ってきかなかった。


その頃には私は、夜7時から朝6時まで、1時間熱い風呂に入って1時間休むというサイクルを繰り返していた。少しでも楽になればと思ったのだ。2カ所のマッサージ師にかかったが、ほとんど、あるいは全く効果がなかった。背中に枕を入れたり、温湿布をしたり、最後にはもう一度車を買い替えたりしたが、何の効き目もなかった。


妻がしつこく言ったので、私は根負けして医者に行くことにした。医者は言った。「糖尿病一歩手前のようですよ。減量した方がいいでしょう。」その後の2ヶ月で、体重は23キロ、すなわち28%も減った。私は思った。「世の中にはどうしても減量できないって言う奴がいるけど、そんなの俺に言わせればただの弱虫だね。」しかし、今やさらにひどくなった背中の痛み、食欲の完全な消失、朝の嘔吐とそれに対応した夜の吐き気はまるで改善する様子がなかった。私は自分の運転の仕方が悪くてこうなってしまったのかと思い始めた。


1996年の大晦日、我々は二人で夜8時の映画に出かけたが、あまりにも痛かったので、上映中じっと座っていることができなかった。家に帰ってきたが、夕食も食べず乾杯もなし。妻は10時に一人で寝てしまった。新年の迎え方としてはかなりひどい部類に入るだろう。


というわけで、妻に逃げられる寸前まで状況を直視しなかった賢い私は、もう一度医者に行くことにした。1997年1月の最初の週だった。検査が行われた。数回の診察と一度のCT、それからいくつもの血液検査を経て、私はこう言われた。悪いニュースだ。「あなたのCTには、腫瘍のような影が認められます。すぐに針生検を行いましょう」「先生、それは、悪いものですか? それとも良性ですか?」と私は聞いた。「がんだと思われます。針生検をしてこれがどういうものか調べなくてはいけません」医師はかすれた声で答えた。その声は、私にはまるで泣いているように聞こえた。その瞬間、私は心の奥底から、この影に絶対殺されてたまるか!と思ったのだった。私はこう言った。「先生、そんなに深刻にならないで。私はこれにやられたりしませんよ。」


針生検という単語は、非常に恐ろしく響いた。私は震え上がった。背中の痛みだけでもひどいのに、この上がんにかかっているとわかったら・・。生検は、患者をCTの台に乗せて行われる。「胸に巨大な針をぶすっと刺すんじゃないか」と私は思ったのだが、終わってみると、胃のところに小さな絆創膏が張ってあるだけだった。


想像力というものは素晴らしい。しかし油断をすると、想像力は恐ろしいやりかたで人をからかったりするものだ(私は油断していた)。睡眠を取るのは良いことだ。その間現実から逃げることができるし、自分の体が自分を治す時間にもなる。ある日、私が寝ている間に妻に電話がかかってきた。医師は妻に告げた。「95パーセントの確率で、ご主人は膵臓がんにかかっています。5%は別の病気の可能性もありますが・・・」私が目を覚ますと、妻は人生で最もつらい作業をやった。つまり私にその知らせを伝えたのだ。私たちは二人抱き合って一晩中泣いた。

(つづく)

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