それぞれの戦い
日本人研究者がすい臓がん研究の賞を受賞
日本の研究者が、2007年のパンキャン若手研究者賞を受賞しました! くわしくはこちらのインタビューをごらんください。この賞は、すい臓がんの研究分野でめざましい功績のある若手研究者に贈られるものです。パンキャン(アメリカの膵臓がん患者団体)はアメリカ癌学会(AACR)と共同でこれまでに2億円を越える研究賞・助成金をさまざまな研究者に授与してきているそうです。
今年この賞を受けたのは、ワシントン大学メディカルセンターに在籍中の柏木宏之氏です。氏は消化器外科医として日本で12年間活躍していましたが、「臨床医として膵癌の治療オプションの少ないところに問題を感じ、新しいStrategyを開発したいと考えた事が膵癌研究を始めたきっかけになった」そうです。
今回賞を受けた研究は、ウィルスのタンパク質を利用することによってがん細胞を自滅(アポトーシス)に追い込むという画期的な治療法です。(この記事に、数年後には臨床試験が始まるのではないかという予想が出ていました。)「まだ実験段階ですが、この新しい試みが成功し、膵癌治療に一閃の光明が与えられる事を熱望しております。」
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PanCANの設立には二人の女性が関わっていた
PanCAN(パンキャン=米国の患者団体、すい臓がんアクションネットワーク)は、がんナビのこの記事によると1999年設立と歴史は比較的浅いものの強い使命感をもって焦点を絞った活動をして急成長している団体です。臨床試験のデータベース提供、がん研究の助成、陳情活動(米国のすい臓がん関連予算を20億円から80億円に増額させました)、PALS(無償の電話相談サービス)などの鮮やかな実績があります。
このパンキャンを設立したのが、ジュリー・フレッシュマンさん(写真)です。プロフィールはこちら。フレッシュマンさんは、1999年6月に父をすい臓がんで亡くし、この年、PanCANを設立します。そして経営学を学んでいたこともあり、フレッシュマンさんは民間企業のような経営手法で組織をけん引していくのです。
重視しているのは、強い事務局になることだ。「理事会の決定事項や諮問委員会の推奨に基づいて、患者にとって何が大切かを事務局が考えて、事務局主導で遂行していく」とフレッシュマン氏は基本方針を説明する。人材採用と育成にも熱心だ。・・給与・待遇については、一般民間企業に引けを取らない条件を確保している。
フレッシュマンさんのインタビューはこちら(日経メディカル)
そしてもう一人、PanCANの共同設立者である『熱意と戦略の人』、ポーラ・キム氏のインタビューをこちら(がんナビ)で読むことができます。「10年の経験から編み出した患者団体活動の秘訣」です。日本のがん患者団体とはかなり様相の違う闘い方に驚かされることでしょう。
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PanCAN Japan の設立者について
パンキャンジャパンは、2006年10月に設立され、ちょうど1年を迎えたところです。筆者(やぶいぬ)がほそぼそと「やぶいぬ応援団」のページを作りはじめたころ、Johns Hopkins 病院のすい臓がん掲示板に「日本にPanCANの支部が発足予定」という小さな掲示が出たのです。迷いましたが、微力なりに何か協力できることはないかと連絡をとってみました。
そして、パンキャンジャパンのサイトもこのブログもその後大きく発展していくことになりました。やぶいぬ応援団の記事の多くはPanCANのニュースレターから許可を得て翻訳したものですし、こちらからはパンキャンジャパンの「希望とインスピレーションの物語」などの翻訳を提供させていただいています。
パンキャンジャパン設立者の真島氏は、2年ほど前に妹さんを亡くされたのをきっかけにこの運動に身を投じられたそうです。(真島氏の挨拶文はこちら。)厚労省への陳情活動(参考資料)、すい臓がんサミットやASCO(米国臨床腫瘍学会)に参加して最新の情報を収集したりと、精力的に活動していらっしゃいます。パンキャンジャパン(メールマガジンなど)への登録はこちらからです。
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