やぶいぬ応援団

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がんワクチン研究の現状

yabuinu52007-11-04

11月はすい臓がん啓発月間です*1

癌ワクチン(がん治療ワクチン)とは、生体内の免疫力を利用する治療法で、癌細胞を攻撃するための目印となる抗原と呼ばれるタンパク質等を生体内に注射し、体内の免疫細胞を誘導して免疫力を強化し、癌細胞の縮小・消滅を図るというものです。これまでに実用化された癌関連ワクチンには子宮頸癌予防ワクチンなどがありますが、癌を治療する「がん治療ワクチン」の実用化には更なる研究が必要です。


これに関する報道が2本ありましたので紹介します。

がんワクチン「効果あり」 34人中22人、安定か改善朝日新聞 2007年10月5日)


進行した膵臓がんや食道がんなどを対象にしたがんワクチンの臨床研究で、患者34人のうち22人に病状の悪化を防ぐ効果が確認されていることがわかった。


日本癌学会総会で、東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターの中村祐輔教授が発表した。目立った副作用は出ていないという。新薬として開発を進める方針だ。


・・・膵臓、食道のほか、肺、肝臓、膀胱、大腸の各がんを対象に、岩手医大福島県医大、山梨大、和歌山県医大、九州大などが昨秋から順次、臨床研究を始めた。


今はワクチン自体に毒性がないかどうかを確認している段階で、標準的な治療法がないと判断された患者らに説明し、同意を得て研究に参加してもらっている。 ・・・

  参考:「『がんワクチン』の臨床ネットワーク」(一喜会(高知がん患者会))

がんセンターが「がんワクチン」の臨床試験に着手(読売新聞 2007年11月1日)


国立がんセンター中央病院が、治療の難しいすい臓がん、胆道がん患者を対象に「がんワクチン」の臨床試験に着手することが1日わかった。臨床試験は、病状が進行し、手術が適さないすい臓、胆道のがん患者十数人を予定。


ワクチンには、正常細胞にはなく、がん細胞の表面にある「WT1」というペプチドを利用。体内に入ると、がん細胞だけを直接攻撃する免疫細胞(キラーT細胞)を増やす作用がある。年内にも臨床試験を始める予定で、2週に1回ずつ2か月間、両肩や腹部など6か所に注射。抗がん剤も投与する。・・・

  参考:WT1癌ワクチンのページ(大阪大高知医大


この治験についてまだ詳細はわかりませんが、発表があれば、当サイトでも続報を出したいと思います。(※「UMIN-CTR臨床試験情報検索」で、UMIN試験ID UMIN000000910を入力すると、国立がんセンター中央病院でのWT1臨床試験の情報を閲覧できます。)


これまでのすい臓ガンワクチン研究は、手術を受けた患者を対象としたもの(例えばGVAXなどは良い結果が出ているようです:参考)が主で、ステージ4の手術できない患者を対象としたものは成功していませんでした(例、PANVAC-VFなど)。この日本発の研究が膵癌患者に対する福音となることを願います。


関連記事:国内の癌ワクチン研究(Cancer Information Files)
     癌ワクチンの有望性を裏付ける研究が多数報告(2007年4月17日 いきいき健康 NIKKEI NET)

*1:例えば、この写真のように紫のリボンを身につけたりブログに載せてみるというのはどうでしょうか? ブログ用紫リボンの素材をここにアップしておきました。

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