サバイバー(ガン克服者)となるために
アリソン・ワイリーは、当サイトでも紹介したウォルター・リーマン氏を始めとする大勢の膵臓がんサバイバーをインタビューしてきたライターです。彼女の分析による『生還のための傾向と対策』をお送りします。アメリカ人に向けたメッセージですが、日本でも充分当てはまるところがあるでしょう。原文はここにあります。
家族や身近な人が膵臓がんにかかったと知らされて最初に直面するのが、この病気の厳しい統計です。でも膵臓がんの長期生存者はいるのです。実際にいるというだけではありません ー その数は増え続けています。彼らの物語は、この強敵に立ち向かう人々の大切な道しるべとなっています。
『末期の』がんから生還したビッキー・ジラードは著書 "There's No Place Like Hope(希望ほど良いものはない)" の中でこう述べています。『よく思うのは、ガンというものは小学校にやってきた悪いいじめっ子のようなものだということです…そいつのことを考えただけで皆が逃げ出してしまうような。でもいじめっ子の力をなくすには、ほんの何人かが立ち上がればいいのです。ガンからの生還者の物語の役割はここにあります ー いじめっ子に向かって睨みつける役割なのです。』
.....
私たちは始めから、『長期』の定義をサバイバー自身にゆだねることにしていました。その結果色々な方が長期生存者として名乗り出てくださり、この闘病記集に多様性と幅ができたのです。……募集の手紙にも書きましたが、「自分が長期生存者だと思ったその日から誰もが長期生存者なのです。」
あるいは、こう理論づけることができるかもしれません。長期生存者というのは、(おそらく)『自分が長期生存者になることがわかっていた』人たちなのだと。始めのころにインタビューした生還者と家族の共通点の一つは、ほとんど最初の時点から、自分は確率の壁を突破するんだと確信していたことでした。
.....
この闘病記集では、私たちは(始めは)生還者の方々が自分の驚くべき記録の医学的な詳細を公開するのを手伝っているつもりでした。医学的には、どのような要素が膵臓がんからの生還の可能性を高めるのかはわかっています。例えば、発病年齢や基礎体力、早期発見、腫瘍ができた場所、手術可能かどうか、世界レベルの病院や優れた医師にかかったかどうかといったことです。私たちが最初にインタビューした方々の多くは(全員ではありません)、こうした要素をたくさん(全部ではありません)持っていました。でも、それはここまで幸運でない方々にもあることでした。私たちは、他にも何か医学的以外の要素や資質が長期生存者の方々に共通な要素としてあるのではないかと思いはじめました。
そうしてわかったのです。これはニュースで報道されるようなことではありませんが、ここに載せた闘病記を読んでいくと自ずと明らかになっていくことでしょう。積極性。負けじ魂。崇高さ。小さなことにも感謝すること。情報をなんとしてでも集めようとすること。絶対に「それはできません」と言わせないこと。強靭で献身的でいつも側にいる介護者。どんなに希望をなくすようなことが起こっても(しょっちゅうですが)決して希望を捨てないこと。そしてユーモア。ユーモアは常に大切です。ひとりのサバイバーは、闘病の最初から以下のような言葉を書いて冷蔵庫に張っていました。『わたしは永遠に生きる計画をたてた。これまでのところ、計画は順調』
そうして現在でも ー 闘病生活の最も苦しい期間が終わり、危機が去った今でも、
- 生還者はどの方も、情熱的で真っすぐな気持ちで、自分の体験を後に続く他の人たちと共有し、他の人を助けていこうと決心しているようです。
- それから ー 生還者に共通だったのは、自分たちの体験を通じてのある種の感謝の気持ちでした。ある生還者の奥様がおっしゃったことですが、『あの時間は、特別に甘美で豊かな時間でした。私たちはお互いに相手が変わっていくのだけを見ていたんです。そうして本当に大切なことだけを話したり考えたりするようになっていったんです。』
.....
日本からも素敵な話がたくさん出てきますように! このサイトでは、これからも色々な生還の記録を載せていきたいと思っています。