やぶいぬ応援団

膵臓癌闘病記や生還者のアドバイス、新薬の治験情報や研究など元気が出る話題を個人が集めたブログです。 <免責事項>本ブログは特定の治療法や薬の使用を推奨するものではなく、このブログの情報を利用した結果について筆者は責任を負うことはできませんのでご了承ください。

治験体験記・前編

それでも「治験は怖い」と思っていませんか? では、治験に実際に参加した人の体験談をお送りしましょう。これは今月頭にボストン・グローブ紙に発表された社説です。筆者は腎細胞がんにかかりましたが、臨床試験のお蔭で命を保っているそうです。すい臓がんや腎臓がんのような難しい病気の場合、治験に参加することが治療の決め手になることもありうるのです。(原文

  • 「これはとても大切な、そして乗り越えられる壁だと思う。」

「病者にも人助けと希望のチャンスを」
ジェリー・フェンスターマン 2006年8月3日


私はいま、不治のがんと闘っている。私は治験薬のおかげで生きのびているのだ。新たながんの治療法が、毎日のように私の目に飛び込んでくる。新薬や、新たな役割を与えられた古い薬が ー それまでは死に至るしかなかったがんの進行を遅らせ、止め、縮小させ、そして時には治癒させたというニュースだ。私のような人々にも、奇跡が起こるのだろうか? そしてそれは間に合うのか?


現在、臨床試験に参加する人は全がん患者の5%しかいない。そのため、新たな治療法の効果を確かめるには3年から5年が必要だ。国立がん研究所の前所長によれば、もしがん患者の治験参加率をせめて10%に上げることができれば、臨床試験の期間は1年に短縮できるというのだ。


参加者を倍にするぐらい、簡単なことのはずだ。


ハリス・インタラクティブ社が2000年に行った調査では、6,000人のがん患者のうち85%は『自分の治療の選択肢として治験に参加という方法があることを知らなかった』そうだ。これが治験参加率が5%の低さに留まっている理由のようだ。がん患者は誰しも良い薬を一早く手に入れたいと願っているから、治験参加者をあと5%分増やすぐらい朝飯前のはず。なぜうまくいかないのだろうか。私の体験の中に答えが含まれているかもしれない。


私のがんが不治だと分かったときの唯一の希望が臨床試験だった。私は、各地で行われている治験を簡単に探して参加できるようなシステムがあるとばかり思っていたが、そんなものはちっとも見あたらなかった。私が良い治験を見つけられたのは、よくできた公平なシステムがあったからではなくて、私の主治医が腎臓がんの権威だったからに過ぎない。最初のハードルを越えられただけなのだ。


私は治験を行っている医師に電話をかけて自分がその治験を受けられるかどうか聞くことにした。自分が住んでいるボストン、それからシカゴとニューヨークに電話した。だがどこでも一様に、実際に受診してもらわないとと言われてしまった。本当の話だ。医者は忙しいし、電話では患者が本気かどうかわからない。私は『自分の命がかかっているんだ、どこへでも行くぞ』と自分に言い聞かせた。だが一度シカゴまで移動しただけで、週に2回そこへ行って治験を受けて、しかも薬が効けば無期限に通い続けるなんて大変過ぎるということが分かった。


出費はすぐにかさむ。シカゴへの移動には金がかかる。うちの会社は治療に通うのに有給休暇が使えるが、私のように幸運な人が他にどれだけいるというのだ?
続く

<免責事項>本ブログの医療記事や体験記は、特定の治療法や薬の使用をし推奨するものではありません。ご自身の病状については、担当医とよく話し合ってください。このブログの情報を利用して生じた結果について筆者は責任を負うことができませんのでご了承ください。<おことわり>このブログは営利目的ではありません。コメントは承認制です。商品や治療法の広告を目的としたトラックバック、記事内容と無関係のコメント等は予告なく消去させて頂くことがあります。