やぶいぬ応援団

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キャロル・N「私の闘いの武器」

yabuinu52006-08-28

  • 化学療法を受けながら、自転車で60キロも走ったりするなんて信じられますか? 今回はそんな、知力も体力も兼ね備えた「かっこいい」女性の話です。
  • 出典は PanCAN Newsletter 2006年7月号、ご本人やご家族のカラー写真がここにあります。


キャロル・N、テキサス州プレーノー

1年以上前、地元の病院のがん生存者をたたえる集いに参加した時のことです。その会で講演をした人が、どうしてだかいまだに理解できないのですが、なんと「あなたは膵臓がんを克服した人に会うことは決してないでしょう」と言い放ったのです。私の考えでは、診断の日から1日でも過ぎれば「がんを克服したサバイバー」と言ってもいいと思いますよ。さて、私は膵臓がんと診断されて20ヶ月になります。ここまで来るのにたくさんの人々の助けがあったことに感謝しています。夫のジェフリー、二人のこどもたち、担当医と看護師さん、私に話を聞かせてくれたサバイバーと家族の方々。私は診断が下ったとき日記を付けはじめました。最初の書き込みは「私は独りじゃない」というものでしたが、1年半が過ぎて、この言葉がどれだけ正しいものであったかを実感しています。


私はまるで自分がこの闘いのために一生をかけて準備してきたような気がしています。私は大学で動物学の勉強をしていましたし、修士号を取る時の大学院では免疫学の研究室にいました。それから医学図書の管理の仕事のトレーニングを受けたのです。こどもが生まれてすぐに家で子育てに専念することになりましたが、主婦としての人生を後悔したことはありません。だって勉強するのは何のためだと思いますか? 54歳で転移性膵臓がんと診断された時には、私は細胞生物学の知識も医学の知識もあったし医学情報を集めてまとめるにはどうしたらいいのか良く分かっていたんです。だから闘いの武器はいくつも持っていました。それから私は30年にわたってランニングをしてきました。ヨガと瞑想は5年間です。こうしたことも、統計学の先生たちが予測するよりもはるかに長く私が生きのびる上で重要だったのではないかと思います。私は他にもチャレンジしがいのある目標を立てました。娘が体操の大学対抗試合に出るのを見届けること ー これは3月に達成しました。二人のこどもたちが結婚する時のためにウェディングキルトを完成させること、それから6人(予定)の孫たちのためにベビーキルトを完成させること ー ウェディングキルトはでき上がり、ゆりかご用キルトは今5つめを作っています。次の目標は息子のUCLAロースクールの卒業と娘のUNCの卒業を見届けること、どちらも来年の5月です。これも達成できるんじゃないかなという気がしています。


肝臓から取ったサンプルの検査結果が返ってきた次の日、担当の腫瘍内科医は自分の知っている中で一番攻撃的な治療法を教えてくれました。GTX療法 ー ゲムシタビン(ジェムザール(R))、ドセタキセル(タキソテール(R))、カペシタビン(ゼローダ(R))の併用療法です。私の役目は毎日運動をして、ヨガの練習を続け、何とかなるさという気持ちを持ち続けるということなのだと私は理解していました。GTX療法は魔法のように良く効きました。私のCA19-9の値は50,000から93まで下がったのです。カペシタビンによる手足症候群のためランニングができなくなってしまった時のように、大変なときもありました。でもすぐに足がどれだけビリビリしていても、自転車になら乗れることが分かったのです。それ以来最高で60キロのサイクリングをしています。


GTX療法は8ヶ月で効かなくなってしまったので、それ以来ゲムシタビン、ベバシズマブ(アバスチン(R))、エルロチニブ(タルセバ(R))、シスプラチン(プラチノール(R))、ドセタキセルなどを中心とした様々な組み合わせの抗がん剤を使ってきました。膵臓の尾部にあった腫瘍をノバリス定位放射線手術でたたいたこともあったし、新しい標的製剤の臨床試験に参加したこともあります。最近のPET検査では、私の膵臓には腫瘍活性はなく、ただ4個のうっとうしい肝転移があるだけだそうです。今はこの肝転移に対してオキザリプラチン(エロキサチン(R))とカペシタビンを使っています。試してみたい薬がいっぱいで時間が足りないぐらいです!

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