すい臓がん患者の体重減少に魚油を
すい臓がんの闘病記を読むと、激しい体重減少を訴える方が多いのに気づきます。診断前も、手術後や抗がん剤の治療中も消化機能が低下するためか体重を保つのに皆さん苦労しておられるようです。さて、Johns Hopkins 大学病院では、すい臓がんの患者に1日2gの 魚油 EPA(エイコサペンタエン酸)を摂ることを勧めています(原文はこちら)。あるイギリスの研究では、EPAやDHA*1を含む栄養飲料を摂っていたすい臓がん患者では体重がむしろ増えたそうです。魚油には「悪液質」と呼ばれる体内の異常な化学物質の産生を抑制し、筋肉の分解を防ぐ作用があるとのこと。
脂の多い魚には上の記事に書いたビタミンDが多く含まれるという話もあります(参考)。動物実験では、魚油にすい臓がんの肝臓への転移を抑制したりがんの進行を遅らせたりといった効果が認められたそうです(参考論文1、2)。体重の減少は、がんと闘う上で最も大切な体力の減少を意味しているとのこと。いろいろ工夫していきましょう。無臭化された魚油もあるそうです(参考)。
追記(2006-12-12):がんになってからの食生活に関して、国立がんセンター(がん情報サービス)の「がんと食事について」によい記事がありました。そこには、消化器がんの生活指針*2として「野菜と果物をふやす」「運動量をふやす」といった項目が挙げられています。
(2006-12-20):体重減少が気になる時の食事法については、がん情報サービスのこちらに記載があります。
(2007-02-03):抗がん剤を使用しているときの食事については、『K食(化学療法中の食事)について』(癌研有明病院)に良い情報があります。
(2007-08-07):<おわび>Johns Hopkins大学の記事によれば、「1日2gの魚油」ではなく、「1日2gのEPA」の間違いでした。謹んで訂正させていただきます。
(2007-08-07):膵臓がんでは体重減少と悪液質がなぜ発生するのか、そしてEPAの効能について、くわしい記事を8月7日に載せました。
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