RP101のこと
冷戦時代に鉄のカーテンの向こうで開発されて消えていったヘルペスウイルスの薬が、抗がん剤に耐性ができるのを防ぐ薬として再び表舞台に登場しようとしています。
※RP101は、5-FUやTS-1、ゼローダと併用すると致死的な副作用を起こすことがあります。
以下は、いくつかの記事(1・2・3・4)をまとめたものです。しろうとのまとめですので間違いがある場合もありますがご了承ください。
アバントジェンオンコロジー社によると、今年10月にアメリカFDAは膵臓がんに対するRP101の開発を承認したそうです。これにより、2007年早々にもジェムザールと併用した効果を調べる第2相試験がアメリカで行われる運びとなりました。
この薬はRP101(brivudine, BVDU, Zostex)という名前です。帯状疱疹やヘルペス治療用の飲み薬として1980年代に東独で使われていましたが(従って安全性は高そうです)、冷戦終了後は西側のゾビラックスという薬に販売競争で負けてしまいました。しかし1995年、ドイツの研究者が遺伝子の増幅を強力に抑えるこの薬の作用に注目し、抗がん剤の耐性を防ぐのに使えるかもしれないと研究を始めたそうです。
がん細胞は、抗がん剤を細胞外に運び出すポンプなどさまざまなタンパク質を作って抗がん剤に対抗します。その働きが勝ってくると、がん細胞は抗がん剤に対する耐性を獲得してしまいます。タンパク質を作るための遺伝子が増えるのを止めれば、抗がん剤に対する耐性もできないだろうとこの研究者は考えました。
2002年、2003年に行われた最初のがん患者対象の試験では、この薬に最も良く反応したのが転移のあるすい臓がん患者だったそうです。ジェムザールという薬といっしょに使った場合は94%の患者が何らかの反応をみせ、奏功率や生存期間がほぼ倍になったそうです。
この他にもすい臓がんに関してはさまざまな薬が開発パイプラインに入っているそうです。研究者の方々、がんばってください。大勢の人が待っています。