やぶいぬ応援団

膵臓癌闘病記や生還者のアドバイス、新薬の治験情報や研究など元気が出る話題を個人が集めたブログです。 <免責事項>本ブログは特定の治療法や薬の使用を推奨するものではなく、このブログの情報を利用した結果について筆者は責任を負うことはできませんのでご了承ください。

外科医・内科医を選ぶ

purpleBracelet

現代は患者が病院を選ぶ時代と言われていますが、すい臓がんの場合はどうでしょうか。アメリカの資料から少し翻訳してみます。(注意:アメリカは健康保険制度などが日本と異なりますので、以下に書かれていることすべてが日本でも当てはまるとは限りません。ページ下の<免責事項>もお読みください。)


まずは外科医。PanCAN ニュースレター 2004年4月号からです。

良い外科医を選ぶためにー経験は大切です!ー

1935年にアラン・ウィップル医師がその名前を冠した手術を広めた当初は、この手術は非常にハイリスクな手術でした。手術を受けた患者の25%が病院でそのまま亡くなっていたのです。現在では、ウィップル手術による死亡のリスクは経験ある外科医が術者であれば1〜2%程度にまで低下しています。外科医にとっての経験の重要性を考えるときには、ニューイングランド医学ジャーナル(NEJM)に掲載されたある調査が参考になるでしょう。この調査によれば、膵臓切除手術の死亡率は同じ手術を数多く実施している病院で行った場合、最大で12%下げることができるそうです。以下に、外科医を選ぶためのヒントをいくつかあげておきましょう。

  • 担当の外科医に、膵臓の手術を年間何件行っているか、またその成績はどうであったか聞いてみましょう。
  • 大きな研究病院や指導病院へ、セカンドオピニオンを取りに行ってみましょう。こうした施設では非常に経験のある医師が勤務している可能性が高いです。
  • 自分の健康保険の会社に(訳注:アメリカでは健康保険が民間の会社によって運営されています)、今より専門的な病院で手術を受けても保険金を払ってもらえるように交渉してみましょう。

(訳注:日本の外科技術は世界でもトップクラスにあるようです(参考)。)


ところが、すい臓がん患者の8割は発見されたときに手術できない段階にあると言われています。その場合は内科などで抗がん剤治療を受けることになりますが(放射線科は外科や内科からの紹介でかかることが多いと思われます)、では内科医はどのように選べば良いのでしょうか?


ジョンズ・ホプキンス病院の患者掲示板からそれに関する現在進行中の議論をいくつかご紹介します。


まずはムックさんの投稿から。「腫瘍内科医がジェムザールと他の薬の併用療法(GTX)を検討してくれない。どうしたら説得できるか?」というジェシカさんの質問に対する回答として、ムックさんはこう答えています。

この論文抄録を印刷して、別の医者を探したほうがいいと思いますよ。GTXは発表されてからけっこう時間が経っているので、膵臓がんの治療を行っている腫瘍内科医なら当然知っているのではないかと思います。あなたの担当医がGTXについて何も知らないということは、彼がかなりの怠け者で膵臓がんの治療をすると標榜しておきながらその実この病気に対してまったく調べようとしていないということを強く示唆しています。そういう腫瘍内科医は避けた方がいいでしょう。なぜなら、彼はこの病気を積極的に治療する気がないからです。


GTXというのは、ジェムザールにタキソテールとゼローダという薬を組み合わせた治療法だそうです。日本ではすい臓がんの薬としてジェムザールの他に半年前にティーエスワンTS−1が承認(参考)されましたので、少なくともこの2種類の抗がん剤(がすい臓がんに使えること)を知っている医師にかかる必要があるでしょう。熟知して使いこなせる医師であればなお良いはずです。


また、あまり積極的な治療をしない主治医の態度について、こんな議論もありました。あるスレッドの中で、父親が肝臓に転移したすい臓がんと闘っているリンさんという女性がこういう疑問を呈しています。

どうしてなんでしょう? どうして一部の腫瘍内科医は治療をしたくないように見えるのでしょう? 父の担当医は「治験などというものは学者のためのものであって患者のためのものではない」という態度なんです。この医師はどうも基本的なすい臓がん治療の知識が欠けているようなのです。どう治療してほしいのか、いちいちこっちから指示しなきゃいけないような感じでした。ありえない展開でフラストレーションがたまりました。この病院でものすごく時間を無駄にしてしまいました。返す返すも残念です。医療費の問題ですか? 健康保険の関係? どうして???


マルさんからの返答です。

医療費のせいでは、ないと思います。優しい言い方をすれば、多分腫瘍内科医たちはすい臓がんに対して(特に手術できないものに対しては)絶望的になっているからではないでしょうか。それから、抗がん剤放射線治療の副作用を患者に起こしたくないという気持ちが働いているようですし。


でも、病気のことをあまり勉強していない医者というのはよくいますね。実際には次々治療法が登場して、その進歩のおかげで患者の多くはより良い日常生活をより長く続けられるようになってきているのですが。


とにかく、リンさんは今すぐ楽観的ですい臓がんにくわしい医者を見つけるべきです。


日本でもがん治療に精通した専門医を養成しようという計画が始まったそうです。(毎日新聞文科省、がん専門医を養成 拠点の14大学公募)これからは、患者と一緒に闘ってくれる医療者が増えてほしいと思います。医療者の側があきらめてしまったら、患者は手も足も出なくなってしまいますから。


追記:よい外科医の選び方について、ここに追加しました。


注:写真は PanCAN Store で販売されているスワロフスキークリスタルと銀のブレスレットです。

<免責事項>本ブログの医療記事や体験記は、特定の治療法や薬の使用をし推奨するものではありません。ご自身の病状については、担当医とよく話し合ってください。このブログの情報を利用して生じた結果について筆者は責任を負うことができませんのでご了承ください。<おことわり>このブログは営利目的ではありません。コメントは承認制です。商品や治療法の広告を目的としたトラックバック、記事内容と無関係のコメント等は予告なく消去させて頂くことがあります。