やぶいぬ応援団

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共に闘ってくれる医者

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患者と一緒に闘ってくれる医療者の重要性については先日お話しした通りですが、今日はそれを明らかに示す証言をご紹介しましょう。以下は翻訳家のmarthaさん*1が訳してくださった患者闘病記です。marthaさん、ありがとうございました。闘病記の出典は PanCAN Inspirational Stories です。(これまでの「生還者の声」シリーズはこちら

これは、私の夫の生還記です。夫が2005年8月に膵臓がんと診断された当初、希望はほとんど見えませんでした。しかしそれからたった5ヶ月で、夫の肝臓にあった癌は75%縮小したのです。


8月の最後の週でした。夫は憩室炎と思われる症状で、ひどい腹痛と膨満感を訴えました。かかりつけの医師は、抗生物質と鎮痛剤を数日分処方し、数日経ってもよくならない場合はCTの手配をする、と言いました。結局土曜の朝、救急医療のお世話になってしまいました。救急の医師は、どこかに閉塞があるようだと言い、それを調べるためCTの前に造影剤を32オンス(訳注:およそ950cc)飲ませました。医師と看護師たちは、夫の痛みに対してまったく思いやりがありませんでした。夫は閉塞がひどく、造影剤を飲むと激痛になりました。結局造影剤なしでCTを撮りました。結果が判ると、病院のスタッフの態度ががらりと変わりました。病室に入ってくるなりドアを閉め、恐ろしいことを言い始めたのです。「あなたの膵臓、肝臓、脾臓、そして、大腸の下部には、大きな塊が認められます。」夫は、腫瘍による閉塞を取り除くため、緊急手術が必要になりました。そうしなければ命が危なかったのです。


夫は別の医療施設に移され、手術と人工肛門造設術を受けました。腸がひどく膨張していたので、執刀医は肝臓やその他の臓器の生検をすることができませんでした。手術の翌日、肝臓の生検が針を使って行われ、膵臓がんであることが判明しました。夫を最初に診察した腫瘍専門医は、入院中出会った医師の中で最悪で、幸運にも私の子供のころからの親友が医者でしたので、彼女に電話をして、彼女が膵臓がんになったら診てもらいたいと思うような腫瘍専門医を探してほしいと頼みました。彼女は、治療に積極的な、すばらしい医師を紹介してくれました。この医師は、夫が家に帰ってただ死を待つことを許しはしませんでした。そのかわり、標準的な治療では夫には効果がないので、それ以上のことをしなければならない、と言いました。そして彼専属の研究助手が見つけた臨床試験を夫に行うことになりました。この試験は、2種類のモノクローナル抗体とジェムザールを使うものでした。 術後28日間は治療を始められなかったので、その間、夫は日に日に弱っていきましたが、なんとか治療が開始されました。この治療法は、1サイクル8週間で、1サイクルが終わったときには、夫の肝臓の病変は25%縮小していました。16週間後、縮小は75%にまで達しました。現在夫は、第3サイクルの3週目です。これまで化学療法による副作用はほとんどなく、一番ひどい症状でも顔、頭皮、上半身に湿疹ができた程度でした。


夫の治療を通して、私たちには希望が湧いてきました! この手記を読んでくださっている方々に私ができる一番の助言は、あなたの状況をコントロールするのはあなた自身だということです。あなたと一緒に戦ってくれる医者を探しましょう。また、あなた自身も膵臓がんの知識を身に着けましょう。医者が臨床試験の話をしてくれないなら、してくれる医者を探しましょう。そして最後に、どれだけ強調してもしきれないことは、信仰の大切さです。私たちはこの試練の間、友達と家族の祈りによって、支えられてきました。


イリノイ州アレンツビル在住、ジェイ W、2006年2月2日

*1:写真はmarthaさんのブログ「Editing my life」から、文鳥のブンちゃんとジャック君です。

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