アレルギー薬とがんの関係
花粉症の季節ですが、皆様いかがお過ごしですか。さて、今日は喘息や花粉症などのアレルギー疾患に使われる薬がジェムザールの働きを助けて膵臓がんの進行をくい止めたという話題をお伝えします。
以下はロイターヘルスからの引用です。
アレルギー薬は、マウスの膵癌に有望であることが示された (2006-12-29 ロイターヘルス)
ニューヨーク ‐ アレルギー薬クロモリンによる治療は膵癌の増殖を阻害し、現在では悪性疾患の治療に用いられるゲムシタビンの有効性を促進することが、動物試験の所見で示された。
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クロモリンはクロモグリク酸ナトリウムとも呼ばれ、インタールという抗アレルギー薬の主成分です。どうやらクロモリンにはジェムザールの効きを高める効果があり、クロモリンを一緒に投与したマウスでは、ジェムザールの効果が3倍になったそうです。
ジェムザールの効果を高める方法は色々研究されているようですが(12月4日のRP101もそうですね)、クロモリンは特許も切れていますし入手しやすい薬ですから有望だと思います。ただしクロモリンは飲み薬という形では5%しか体内に吸収されないので(ほとんどは便から体外に出てしまう)、現在体内への吸収効率を高める研究が行われているそうです。
マウスとヒトとの間にはなかなか越えがたい壁があるようですが(マウスで驚くほどの効果を示した薬剤がヒトでは全く効果がなかったあるいは副作用がひどく使えなかったという話はざらです)、期待はできそうです。
この研究については、希さんのブログ「癌の情報tips」および「癌翻訳リファレンス」にくわしい解説が出ています。
蛇足・以下はネットで読めるインタール開発物語です。喘息患者のアルトゥニアン博士の文字通り身を削った努力について書かれています。「インタール」「インタールとはどんな薬ですか」
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