ナノテクカレー vs がん
2月2日の話の続きです。水に溶けないクルクミンを、ナノカプセルで包み込んで血液中に送り込もうという計画が現在進んでいるそうです。
Nanocurry vs. Cancer ナノテクカレー vs がん(ケンブリッジ市技術評論、6/12/2007)
細胞レベルや動物実験の段階では、クルクミンーインドでカレーに使われるスパイス、ターメリックにあの明るい黄色の色彩を与えているものだがーには癌細胞を殺す力があるかもしれないと言われている。しかしクルクミンは水に溶けないため、服用しても大部分は血液中に取り込まれることなく排出されてしまう。今回発表されたナノ球体は、ジョンズ・ホプキンス大学医学部とインドのデリー大学の共同研究で、クルクミンの血中への吸収をはるかに容易にするものだ。これを使えば、低容量のクルクミンを用いた臨床試験を今までよりもっと多方面で大規模に行える可能性が出てきた。これはクルクミンをスパイスの棚から薬局へデビューさせるための鍵となるステップである。マウスですい臓がんに対するナノクルクミンの効果を調べる動物実験が開始の予定だ。・・・
2月2日にご紹介した臨床試験では、被験者たちはインド人の平均摂取量の40倍ものクルクミンを毎日飲み続けなければなりませんでした。ナノクルクミンを使えば、これを大幅に減らすことができるかもしれません。
このナノ球体は、直径50マイクロメートルの極小のカプセルにクルクミンを内包したものです。カプセル自体は親水性(水にとける)なので、血液中に容易に吸収されます(写真。左はクルクミンを水に溶かしたもの、右はナノクルクミンを水に溶かしたもの。左は油の層と水の層に分離してしまっています)。
記事によれば、現在クルクミンの乳がん、大腸がん、卵巣がん、膀胱がんさらには脳腫瘍やアルツハイマー病への効果を確かめる研究が行われているそうです。1月19日にご紹介したNK105もそうですが、現在はナノテクノロジーの抗がん剤への応用研究がとても盛んになっています。ナノテクにより抗がん剤を狙ったところに直接届けることができれば(ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)ですね)、効果も確実になりますし、全身的な副作用の軽減も期待できるでしょう。
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